思えば、わたしは春が嫌いだった。
5年前、教師になったあの春も、
高校入学したあの春も、
入学式で熱を出した小学校1年生の春も、
大嫌いだった。
わたしは、決して器用な方ではない。
だから、何でも慣れるのに時間がかかる。
学生時代、春が来るたびに、
リセットして、また1から頑張りましょうね。
みたいな雰囲気を醸し出されることに
辟易していた。
人見知りだし、
新たな人間関係の、なんて面倒なこと。
その点、社会人になってからは、
楽になった気がする。
4月1日は、3月31日のつづきの日でしかないから。
たいして、リセットされないまま、
そのまま春が来る。
今年は珍しく、大幅な席替えをした。
自己紹介なんかしあって。
でもなんか悪くないな。
そう思えたのは、
わたしが大人になれたからだろうか。
わたしは、春が嫌いだった。
好きになれる日が、
近づいているのかもしれない。